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入試情報

2012(平成24年)年度入学試験受験予定者向け法科大学院説明会を実施しました。(「実務家紹介」、「在学生紹介」を掲出)

2011.07.08

2011年6月18日(土)に開催した慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)の説明会の内容を一部ご紹介いたします。



【説明会概要】
 開催日時:2011年6月18日(土) 10時~11時10分
 会場:南校舎ホール(南校舎5階)



【説明会次第】      
   1.はじめに
   2.カリキュラムの概要
   3.2012年度入試について
   4.実務家紹介......浅井隆(慶應義塾大学法科大学院教授)
   5.在学生紹介
   6.質疑応答 



実務家紹介......浅井 隆(慶應義塾大学法科大学院教授)

2011年6月18日(土)に開催された慶應義塾大学法科大学院入試説明会のうち、教員として、また弁護士としてご活躍されている浅井隆先生の講演を抜粋してご紹介いたします。法曹を目指される皆様のご参考になれば幸いです。
 

  私はこれまで22年弁護士をしていますが、法曹を目指すきっかけは学部時代の3年生~4年生 にかけてで、ちょうど今の皆さんと同じ頃だと思います。就職を意識しだした時、会社という組織 の一員になるよりも、独立した仕事という窓をとおして、さまざまな企業や世界を見ることができ る弁護士の仕事に魅力を感じ、法曹への道を目指しました。司法試験を目指して約5~6年かか りました。私の経験は皆さんの反面教師になると思いますので、ぜひ参考にしてください。

 私の司法試験受験時代は大きく分けて2つに分かれます。最初は独学の時代です。司法試験 予備校には通っていましたが、3年あまり独学の時代がありました。当時の司法試験は2万5千人 の受験者の中から4千人程度が択一試験に合格し、論文試験の合格者は500人弱という状況下 ですが、私は24歳までは択一試験すら受かりませんでした。

 私は択一試験すら受からない状況に危機感を覚え、当時、慶應にあった「司法研究室」(以 下、司法研といいます)に入りました。司法研は今はありませんが、当時は、自習室を利用する ことができ、ゼミや答案練習会なども行っていました。司法研で勉強をし、ゼミ等で先輩や合格者 に教えてもらい、答案練習会で答案構成や論述の練習をしたおかげで、翌年に択一試験を通 り、翌々年に論文試験にも合格し、司法研入室後2年で最終合格することができました。

 私のこの司法試験受験時代で何が言えるかというと、皆さんが今後ロースクールに入って新司 法試験を目指すにあたり、「絶対に独学してはいけない」ということです。ひとりで勉強を進めると 間違ったまま理解してしまうからです。間違った理解や勉強方法はすぐに修正することが必要で す。司法研での2年は、「優秀な勉強仲間」と「教えてくれる先輩」の存在が、私にとって非常に大 きかったです。慶應ロースクールは、その優秀な勉強仲間・先輩と教授陣がいる最良の教育機 関です。このことは、まさに慶應ロースクールの新司法試験の合格実績が示す通りです。

 その後、2年の司法修習を経て法曹資格を取得(弁護士になる)と法律事務所を選ぶことになり ます。これは非常に重要です。私は企業法務へ進みたかったのですが、当時の企業法務という と商事関係か労働関係のどちらかでした。その中で私は、労働事件や労働相談を扱う法律事務 所へ入りました。その後9年目でパートナー(共同経営者)となり、現在に至ります。現在は仕事 の8割程度は、企業側の労働事件や労働相談です。

 最初に説明しましたとおり、仕事という窓を通じてさまざまな企業や社会を垣間見ることができ ました。具体的には、小売、金融、教育機関、医療機関などさまざまの業種がクライアントで、日 本企業は7~8割、外資系は2~3割です。

 仕事の類型は大きく2つに分かれます。弁護士の仕事で思い浮かぶのは訴訟だと思います が、労働法専門の弁護士の場合、たしかに訴訟も大きなウェートを占めますが、同様に、企業の 人事制度の設計なども大きなウェートを占めます。人事制度の設計は、企業経営に大きな影響 を与えます。その意味で企業の経営に関与させてもらえる仕事で、とても創造的です。弁護士 は、訴訟という事件の後処理ばかりではなく、創造的な仕事も行うことができるということを、これ から皆さんが勉強する動機付けにしていただきたいと思います。

 労働関係の仕事のポイントは、自企業の労働者をどう扱っていくかということで、注意すべき は、物を扱うのではなく、感情をもった人間に対してどう対応するかという視点が重要です。法的 には適法であっても、施策として妥当かということが問われるのです。例えば、最近は年功型の 賃金制度から成果主義型の賃金制度へ移行しようとするのが主流ですが、法的観点から適法 でも、その企業文化に照らしその施策ないし人事制度にはたして社員がついてきてくれるかを、 経営者に問題提起します。この点は、意外にも多くの経営者の方が見落している点です。

 執務としては、全国展開する企業は地方で起きた事件に対応する際に東京にいる顧問弁護士 に依頼することが多いことから、毎週のように地方へ出向きます。その他、企業の担当者の方や 社会保険労務士の先生に向けたセミナーの講演依頼を受けたり、雑誌や書籍の執筆依頼もきます。

 弁護士は自由業ですが、仕事が多いと、土日もなく時間的には不自由です。しかし、精神的に は自由です。なぜなら、自分の考えをまげる必要はありませんし、意に反する事件を受任する必 要もありません。これこそ、まさに自由業だからです。

 私の話が、これから皆さんが慶應ロースクールに入り、そして実務家となり、その後のご活躍の 中でどういうビジョンを持つのかにおいて、参考になれば幸いです。





在学生紹介

2011年6月18日(土)に開催された慶應義塾大学法科大学院入試説明会の中から、法曹を目指して当法科大学院(以下では、慶應ロースクール)に在籍している学生の声をご紹介いたします。慶應ロースクールを目指している方のご参考になれば幸いです。

A:既修者コース3年、男性。
B:既修者コース3年、女性。

Q1:数あるロースクールの中で、慶應ロースクールを選んだ決め手は?
A1点目は、慶應は学校の成績と新司法試験の合格率に明確な相関関係があり、学校の授業が試験に役立つため。2点目は、先生方が生徒思いで、親身になってサポートしてくれる環境。国立と迷っていたが、それぞれに進学した先輩に話を聞いた上で、上記2点が自分に合っていると感じ、新司法試験の実績も良い慶應に決めた。
B1点目は、新司法試験の実績の良さ。2点目は、将来的に首都圏での就職を視野に入れているので、知名度の高い慶應を選んだ。

Q2:慶應ロースクールで授業を受けた感想は?
A授業の大半はソクラテスメソッドを用いており、教師の質問に対し、生徒が答える。自分が分からなかった質問をスラスラ答える人や鋭い発言をする人、頭の回転が速い人を目にし、周りの生徒からとても良い刺激を受けた。また、慶應ロースクールのカリキュラムは、各科目優秀な教授陣が授業内容についてあらかじめ議論を重ねているため、授業内容の質が高い。毎日授業を受ける度、自分の誤った理解を是正出来たり、既存知識の理解が深まったり、新たな発見があったりと得られるものが多く、日々自分の成長を感じることもできる。実務家の先生の授業も多く、実務の話を交えてくれることはもとより、一流の実務家の先生の法的思考プロセスを伝授していただけることも非常に有益。
Bロースクールに進学する前から先輩に、予習・復習がすごく大変とうかがっていたのだが、実際進学してからも毎日指定された教材をこなすので精いっぱい。また、自分だけで勉強していると、つい個々の論点に目が行きがちだが、先生が本質的な幹となる考え方を教えてくれるので、有用な授業が多い。それを活かすためにも日々の予習・復習が欠かせないと感じている。

Q3:1日のおおまかな生活スタイルは?(予習復習などの自習の時間等について)
A授業と授業の合間や、自主ゼミ以外の時間は家で勉強している。授業は週6日あり、1.5時間の授業が1日に1つか2つ入っている。1つの授業に対する予習時間は最高でも2時間に止めており、自分の実力を上げるために授業後の復習に、より多くの時間をかけている。土日は気分転換していることも多く、周りに比べると勉強時間は少ないが、自分が一番集中出来る環境で密度の高い勉強スタイルを続けている。
B下宿しているので、集中するためにも主に自習室で勉強している。自習している友人が沢山いるので分からない所があると教えあったりも出来る。朝7:30-8:00の間に登校して、毎日夜は22:00頃までいる。土日は、半日から丸一日勉強から離れるようにして、気分転換と休憩をする様にしている。

Q4:最後に慶應ロースクールを受験する皆さんへのアドバイス

A慶應ロースクール入試の特徴はとにかく時間との戦い。時間不足で力を発揮できないのが一番もったいないので、どんなに時間がない人でも必ず過去問一年分は時間を図って解答してみた方が良い。さらに、自分の答案を検討し、合格のためには何が足りないのかをちゃんと分析した上で、足りない所を補強することを目的として今後の勉強方針を立てることを勧める。また、健康面も十分気をつけた方が良い。
Bマークシート式試験の時間が足りなかった。論文も書ききると決めていたので書ききれたが、まわりは時間が足りなかったという人が多かった。途中答案だと、評価が悪いので、時間配分に気をつけて受験されると良いと思う。

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