現在弁護士としてご活躍されている毛利峰子先生をお招きして,「グローバル法曹セミナー」を2015年7月6日に開催いたしました。
ゲストスピーカー:毛利峰子先生(弁護士)
略歴
1997年 慶應義塾大学法学部卒業
2005年 スタンフォード大学ロースクール卒業
(LL.M. ニューヨーク州弁護士資格取得)
2010年 ミュンヘン大学法学部卒業
(Dr. jur. 法学博士)
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【講演「国際機関で知的財産法制度を考える〜実現したい『あなたの理想』はありますか?」の感想】
「国際機関で働く」。グローバルな仕事や国際協力に関心のある人なら、一度は思いを巡らす進路の一つではないでしょうか。私自身は、小学生の頃に海外で暮らしたことをきっかけに、いずれは国境を超えて仕事ができたらいいなと漠然と考えていました。しかし、法律家という立場を活かして国際機関で働くことの具体的なイメージが湧かず、たとえば国際的な案件を多く扱う事務所に就職するなどの道の方が現実的なのではないか、と思っていました。
毛利先生は、現在の国際機関でのお仕事をするようになるまで、高校生時代から様々な紆余曲折を経てきたそうです。先生のご経歴はめまぐるしく、高校生時代は美術の分野に進もうと考えていたこと、司法試験受験の決断、米国留学・現地の法律事務所での勤務時代のシビアな経験、国際機関において分野の違う専門家の方々と議論を交わして感じたことなど、本当に多くのお話をして頂き、国際機関で働くということを前よりも現実的なものとして考えるきっかけを下さったように思います。
先生のお話の中で、とても印象に残ったエピソードが一つあります。それは、先生が司法修習生時代に裁判官にならないかと声をかけられた際、「自分は国際的な仕事がしたい。それを実現するためには裁判官と弁護士、どちらの道が近いのか。それは弁護士だ。」と自分の軸を今一度確認して弁護士の道を決断されたとのお話です。このエピソードとともに「一時の感情に惑わされず、自身の軸を大切に」と語りかけて下さったことが深く心に残っています。毛利先生の現在のお立場は、これまで自分の軸を見失うことなく、ご自分の目標を追い続けてこられた何よりもの証なのだと感じました。
毛利先生は現在、世界知的所有権機関(WIPO)の国際事務局に勤務され、様々な国籍を持つ職員20名ほどを束ねていらっしゃるとのことでした。チームをまとめるのは大変なことも多いそうですが、各国のバックグラウンドを知ることの大切さを実感しつつ、とてもやりがいを持って仕事に取り組まれているそうです。国際的な仕事に携わりたいとただ漠然と考えていた私でしたが、それはまず他国のことを理解しようとすることなしには始まらないのだということに、そんな当たり前だとも思えるようなことに、なんだかハッとさせられました。
先生のご講演を拝聴し、自分の将来の選択肢が広がったように感じます。まずは自分の軸をしっかりと定めること、そこから始めようと思います。
慶應義塾大学法務研究科 3年
伊藤花凜