ワシントン大学ロースクール夏期プログラムに参加された本学研究科修了生の
桐山 巧さんの体験報告を掲載します。
==============
本年8月29日から9月12日に開催されたワシントン大学ロースクールの夏期プログラム(the University of Washington School of Law Summer Institute in Transnational Law and Practice)に参加する機会を頂きました。 私は大規模な法律事務所で国際的な案件を含めた企業法務を扱える弁護士になりたいと考えていたため、 司法試験受験後の就職活動が一段落ついた段階で、近い将来における海外留学も視野に入れて、 海外の大学のロースクールがどのようなものか今の内に知っておきたいと思い、本プログラムへの応募を決めました。 本プログラムは、9月末から本格的に始まるLL.M.のプログラム等の受講生の導入講座に位置づけられているようで、 判例の読み方や基本的な専門用語の解説などの法律の学習の仕方や、多方面の法律分野の基本的な理解を授業として教えてくれる点で、 まさに将来的にLL.M.への参加を検討している私にとって格好のプログラムと言えました。 多くの大学生が経験するような語学学校等への留学とは違って、ロースクールへの留学は非常にタフでした。 毎日7時間を超える、スピーディーかつ専門用語の多い英語で展開される授業への参加と、膨大な量の予習・復習が課され、正直に言うと、 授業後に観光を楽しむ余力はほとんど残っていませんでした。しかし、結果的には本プログラムへの参加が私の視野を大きく広げてくれることになりました。 まず、大量かつ継続的なリスニングを毎日強制されることで、英語に対する抵抗感がほとんどなくなりました。 もちろん基本的な英語の自主学習は不可欠ですが、帰国後は海外のドラマ等が本当に簡単に理解できるようになりました。 更に、ロースクールでは授業中に自分の意見を発表する力が度々要求されるのですが、自分の言いたいことが英語で瞬時に変換されない悔しさを 味わうことで、TOEICや日本の大学受験ではあまり要求されてこなかったコミュニケーション能力・スピーキング能力の重要性に 気付くことができたのは、本当に自分にとって大きかったです。第3に、このプログラムを通じて、世界中の裁判官・検察官・弁護士の方々と 知り合うことが出来て、刺激を受けることができました。彼らと机を並べて勉強をさせてもらう貴重な機会を得ることで、 今後の自分のキャリアに対する考え方が大きく変わりました。世界中の法曹と知り合うだけでなく、現地の大規模法律事務所(K&L Gates)や 地方裁判所への見学等もプログラムに組み込まれているのも、大きな魅力の一つだと思います。
私自身は帰国子女ではなく、英語も特別得意でもなかったため、国際的に活躍できる弁護士に求められる能力や資質と言われても ピンとくることはなかったと思います。しかし、プログラムを修了した今、私は、今後数年間で自分の理想の弁護士像に近付くための道が 数段明瞭に見えている気がします。英語が苦手であっても、海外志向が強ければ、是非同様の機会があれば参加することをお勧めしたいです。 本プログラムに参加するためにご協力いただいた山元教授を始め、手続きを進めていただいた学生部の方々、 シアトルで一緒に予習復習の波に立ち向かい、司法試験合格発表の喜びを分かち合った慶應の同級生3人に感謝したいです。