21世紀の新たな法化社会において、法曹に求められている役割は、司法すなわち訴訟による紛争解決の担い手としての、狭義の法曹三者のそれにとどまらず、法曹をはじめとする法律家(広義の法曹)の活動領域は、様々な分野に拡大しつつあります。
官庁・地方公共団体や企業などで、いわゆるインハウス・ローヤー(組織内弁護士やリーガル・スタッフ)として活躍する法曹有資格者・修了生が増えてきています。官庁・地方公共団体では、行政主体の予防法務のみならず、法律専門家として積極的に政策形成への関与が求められています。企業では、契約書の作成、トラブル対応・コンプライアンスなどの企業法務のみならず、顧問弁護士とは異なり、法的素養を身につけたビジネス・パーソンとして、組織内の各部署の調整を進めて、最終的な意思決定につなげることが期待されています。
ビジネス界では、近時、新規事業・新たなビジネスモデルの創設における「起業」の重要性に鑑み、経営および法務の両面から起業家(アントレプレナー)の良きカウンセルとして起業を支援することができる法律家の育成が課題とされています。
グローバル・フィールドにおいても、国連等の国際機関や法整備支援などでグローバル・ローヤーとして活躍することのできる法律専門家が求められています。
法務研究科は、「国際性・学際性・先端性」の理念に基づき、「公共政策法務WP」、「企業内リーガルセクションWP」、「起業と法WP」、「国際法務WP」、「法整備支援WP」の5つのワークショップ・プログラム(WP)をフォーラム・プログラムとして開設し、担当教員がコーディネーターとなって、各分野でパイオニア的に活躍している法律家をゲストスピーカーとして招聘し、上記ニーズに応えることができる「新たなタイプの法曹(第4の法曹)」の養成を目指します。