ホーム > 法務研究科 概要:教育理念/目的/3つのポリシー/基本概要
急速に進むグローバル化は、法的紛争および犯罪の国際化をもたらし、法曹の活動領域の国際化をもたらしました。そのため現代社会にあっては、渉外法務に携わる弁護士に限らず、あらゆる法律専門家に国際性が要求されます。これらの世界的情勢に鑑み、慶應義塾大学法科大学院は、国際的な視野の養成にも力を注ぎ、選択科目においては、アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジア諸国等の法の基礎を学ぶ授業を充実させています。とくにアメリカ法に関しては、日本における実務経験ないし教育経験をもつ外国人専任教員を中心とする科目を設置しました。渉外実務にかかわる体験的学習をふまえ、国際的な視野に基づいて国境を超えた法律問題を解決することのできる能力を養成します。
めまぐるしく変化する現代社会においては、日々新たな法的諸問題が生じ、時代の変化に対応した視点からの解決が求められます。そこでは、既成の発想にとらわれることなく創造的な解決策を示し得る柔軟な法的思考力と、歴史的視点をふまえた「学際的」なプロセスが重要です。慶應義塾大学は 10 学部 14 研究科を擁する総合大学。 160 年もの長きにわたって、日本のリベラルアーツ教育を先導してきた歴史と伝統が、バランスのとれた歴史感覚の養成と、隣接学問の幅広い吸収、そして新たな国際交流の機会を提供します。
選択科目の中核に置かれたワークショップ・プログラムでは、第一線で活躍する実務家教員の指導のもと、実務の体験的学習を含めて、各分野における法の機能の総合的な理解を深め、現実志向の学識とスキルを得ることができます。ワークショップ・プログラムとしては、企業法務、金融法務、渉外法務、知的財産法務の4分野をはじめ、多様な分野を展開しています。慶應義塾大学法科大学院は、修了者の多くが法曹としてこれらの分野において真に先導的な役割を果たすことを予定した教育課程を編成し、これらに関連する豊富な選択科目を配置するとともに、行政法、租税法、刑事法、医事法などの科目群についても、極めて先端的な内容を含む充実した科目編成を誇っています。
慶應義塾大学大学院法務研究科法曹養成専攻は、慶應義塾建学の精神に則り、学理および応用を教授研究し、法律に関する高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識および卓越した能力を培うことを目的とする。
■ディプロマポリシー
<教育目標>
慶應義塾大学の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を前提として、法律に関する高度の専門性が求められる職業を担う学識の修得と能力の涵養を目標とする。そのため、法曹養成専攻に所定の年数を在学し、教育の理念及び目的に基づいて設定したカリキュラムの下で各科目について所定の単位を修得し、かつ、GPAが所定の基準以上である学生に対し、法務博士(専門職)の学位を授与する。
<資質・能力目標>
資質・能力目標(1):21世紀の社会を先導する法曹としてふさわしい基礎的法知識を修得すること
資質・能力目標(2):21世紀の社会を先導する法曹としてふさわしい法的思考力を獲得すること
資質・能力目標(3):21世紀の社会を先導する法曹としてふさわしい高い倫理性を身につけること
資質・能力目標(4):社会の変化に対応しうる先端性、国際性、学際性の点において多様な法的能力を獲得すること
■カリキュラムポリシー
<教育課程の編成>
法務研究科法曹養成専攻は、「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」に掲げる資質・能力を養成するために、法律基本科目、法律実務基礎科目、基礎法学・隣接科目、および展開・先端科目から構成される教育課程を体系的に編成する。その際の教育課程の編成および実施の方針は、下記のとおりとする。
1 職業法曹に不可欠な基本的法知識と法的思考能力を確実に修得させるとともに、それらの運用にあたって必要となる高い倫理性を身につけさせる。
2 社会の多様化、グローバル化、高度専門技術化に対応する職業法曹に求められる、先端性、国際性、学際性の観点から、多様性に富んだ法教育を行う。
3 教員と学生が集う場としての教育を提供し、相互の議論を通じた法教育の発展を目指す。
<教育課程の実施>
この教育課程の編成のもと、講義形式、ソクラテック・メソッド、ワークショップ・プログラム、および、フォーラム・プログラムなどの教育法を組み合わせて教育を実施する。
<学修成果の評価方法>
本専攻の教育課程により修得すべき資質・能力目標に対する学修成果の評価は、各科目において定める成績評価基準に基づいた直接的な指標により行われる。具体的には、S、A、B、CとD(不合格)の5段階とし、各評語を付する学生の割合は、予め定められた範囲内とする。なお、特に認められた授業科目については、P(合格)、F(不合格)の評語により評価を行う。また、専攻レベルにおいては、全塾としてのアセスメントプランの考え方のもと、アドバイザリーボードの助言、司法試験合格率、進路調査等を含めた定量的・定性的、直接的・間接的な指標を用いて評価される。
<資質・能力目標と教育内容との関係>
資質・能力目標(1):法律基本科目
基本法分野における法的知識を修得して21世紀の社会を先導する法曹としてふさわしい基礎的法知識を修得するとともに、能動的・創造的能力を涵養して21世紀の社会を先導する法曹としてふさわしい法的思考力を獲得する。
資質・能力目標(2): 法律実務基礎科目
要件事実論の基本的な枠組みの把握、法曹倫理の学習、事実認定論の基礎の修習等により、実務家としての基礎的な技術を修得するとともに、21世紀の社会を先導する法曹としてふさわしい高い倫理性を身につける。
資質・能力目標(3): 基礎法学・隣接科目
法の理念や歴史等を知り、さらには人間と社会に対する洞察力に裏付けられた学識・能力を深めることを通じて、社会の変化に対応しうる先端性、国際性、学際性の点において多様な法的能力を獲得する。
資質・能力目標(4): 展開・先端科目
多彩な法分野の専門的な知識を深めるとともに、実践的な技能を体得することで、将来における専門分野を開発する機会を創出するとともに、社会の変化に対応しうる先端性、国際性、学際性の点において多様な法的能力を獲得する。
■アドミッションポリシー
<求める学生像>
将来、国際性、学際性、先端性を備え、21世紀の社会を先導する法曹として社会で活躍するために十分な資質、潜在能力、意欲を備えている学生。
<選抜の基本方針>
求める学生像に記載されたような入学者を幅広く受け入れるため、法学既修者コース 特別選抜(5年一貫型)、法学既修者コース 特別選抜(開放型)、法学既修者コース 一般選抜(6科目)、法学未修者コースにより選抜を実施する。
(1)法学既修者コース 特別選抜(5年一貫型)
本専攻と法曹養成連携協定を締結している大学学部の法曹コースの修了を予定する主に3年次学生を対象とし、志願者報告書、法曹コース開設科目の成績、3 年次春学期の法曹コース必修科目授業担当者の所見などを資料として、書面のみによる選抜を行う。
(2)法学既修者コース 特別選抜(開放型)
大学学部の法曹コースの修了を予定する3年次学生を対象とし、志願者報告書、法曹コースの開設科目の成績、法律専門科目(憲法、民法および刑法)の筆記試験の結果を資料として、選抜を行う。なお、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法の各科目については、既修者認定のため、入学前(3月)に既修者認定試験を実施し、この試験において一定の水準に達しなかった科目については、入学後に法科大学院1年次科目を履修するものとする。
(3)法学既修者コース 一般選抜(6科目)
大学を卒業した者または翌年3月までに卒業見込みの者(早期卒業を含む)その他法令および本研究科学則に定められた入学資格を有する者または翌年3月までに有する見込みの者で、法学既修者コースへの入学を希望するものを対象とし、筆記試験(論述式試験:憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法)を行い、その結果および志願者報告書、成績証明書等に基づいて選考を行う。この場合、筆記試験で各科目の成績が法学既修者として要求される最低限の水準に達しない者は不合格とする。
(4)法学未修者コース
大学を卒業した者または翌年3月までに卒業見込みの者(早期卒業を含む)その他法令および本研究科学則に定められた入学資格を有する者または翌年3月までに有する見込みの者で、法学未修者コースへの入学を希望するものを対象とし、筆記試験(小論文試験)の結果、および志願者報告書、成績証明書等に基づいて選考を行う。
法務研究科グローバル法務専攻は、慶應義塾建学の精神に則り、学理および応用を教授研究し、グローバル法務に関する高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識および卓越した能力を培うことを目的とする。
■ディプロマポリシー
<教育目標>
慶應義塾大学の卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を前提として、グローバル法務に関する高度の専門性が求められる職業を担うための学識の修得と能力の涵養を目標とする。そのため、グローバル法務専攻に1年以上の年数を在学し、教育の理念及び目的に基づいて設定したカリキュラムの下で、原則として30単位以上(法律実務の基礎を未だ習得していない学部新卒等に関しては36単位以上)を修得した学生に対し、グローバル法務修士(専門職)の学位を授与する。
<資質・能力目標>
資質・能力目標(1):グローバルな視点で法的問題を発見し、紛争を解決する能力を修得すること。
資質・能力目標(2):ビジネスモデルや政策提言を行う能力を修得すること。
資質・能力目標(3):資質・能力目標(1)(2)を通し、将来グローバル法務に通暁した人材に成長するべき者であること。
資質・能力目標(4):アジアを中心とした地域におけるグローバル・ガバナンスについて政策を提言し、アジア諸国をはじめとする諸外国の法整備を支援する人材となるべき能力を修得すること。
■カリキュラムポリシー
<教育課程の編成>
法務研究科グローバル法務専攻は、「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」に掲げる資質・能力を養成するために、Core Program、すなわち重点科目として位置付けられる選択必修の科目群と、Elective Program、すなわち選択科目としてのその他の科目群から構成される教育課程を体系的に編成する。その際の教育課程の編成および実施の方針は、下記のとおりとする。
1 グローバル法務専攻の科目は、本専攻のディプロマ・ポリシーをよりよく実現するために、9つの科目群から構成される。具体的には、1) Japanese Law and Asian Law in Global Practical Perspective 科目群、2) Global Business and Law 科目群、3) Global Security and Law 科目群、4) Innovations and Intellectual Property Law 科目群、5) Area Studies 科目群、6) Comparative Law 科目群、7) Current Legal Issues 科目群、8) Legal Research and Writing 科目群、9) Practical Training 科目群である。
2 グローバル法務に従事する者に不可欠な基本的法知識と法的思考能力を確実に修得させる。
3 教員と学生が集う場としての教育を提供し、相互の議論を通じた法教育の発展を目指す。
<教育課程の実施>
この教育課程の編成のもと、講義形式、ソクラテス・メソッド、模擬裁判・模擬契約交渉・模擬仲裁、リサーチペーパー・ライティング、インターンシップなどの教育法を組み合わせて教育を実施する。
<学修成果の評価方法>
本専攻の教育課程により修得すべき資質・能力目標に対する学修成果の評価方法は、各科目において定め、シラバスに明記された成績評価基準に基づいて行う。具体的には、S、A、B、C(以上合格)またはD(不合格)の5段階とし、各評語を付する学生の割合は、予め定められた範囲内とする。なお、特に認められた授業科目については、P(合格)またはF(不合格)の評語により評価を行う。また、各科目の最終回には授業評価アンケートを実施し、その結果に対しては担当者が授業評価結果に対する所見を提出し、授業内容の改善に役立てている。さらに、年度毎に、全教員が他の教員の授業を参観し、それぞれの授業における各種の工夫について相互に情報を共有し合い、コメントを交換することを通じて、学習成果の把握・評価の方法についても、絶えず改善を図っている。さらに、全塾としてのアセスメントプランの考え方のもと、アドバイザリー・ボードからの助言、進路調査等を含めた定量的・定性的、直接的・間接的な指標を用いて評価される。
<資質・能力目標と教育内容との関係>
資質・能力目標(1):主として、Core Program(重点科目と位置付けられる選択必修の科目群であり、Japanese Law and Asian Law in Global Practical Perspective、Global Business and Law、 Global Security and Law、Practical Trainingから構成される)の履修により、グローバル法曹として必要な比較法、ビジネス法、国際関係法、国際的な法律実務の基礎を修得する。
資質・能力目標(2):主として、Elective Program(選択科目と位置づけられる科目群であり、各自の選択に従い、グローバル法曹としての専門性をより高めるためのものである)の履修により、 ビジネスモデルや政策提言を行う能力を修得する。
資質・能力目標(3):主として、Elective Programに含まれているResearch Paperの作成、Internshipの履修、学生の選択に従って取得が可能な専門認証のうち、International Dispute Resolution、Business Law、Intellectual Property Lawの取得等により、より専門的な分野のグローバル法務に必要な能力を修得する。
資質・能力目標(4):主として、Elective Programに含まれているResearch Paperの作成、Internshipの履修、学生の選択に従って取得が可能な専門認証のうち、Law and Development in Asia、Japanese Law の取得等により、アジア諸国をはじめとする諸外国のガバナンスの構築および法整備を支援する人材となるべき能力を修得する。
■アドミッションポリシー
<求める学生像>
本研究科の理念である国際性・学際性・先端性を備えた法曹として社会を先導することのできる人材として、以下のような意欲および能力を持った志願者を受け入れる。
・世界を舞台に活躍する法曹になることを目指し、多国籍企業、国際機関、法律事務所等での職務やインターンの経験をもつ者
・日本のみならず世界の法制度についての知識を習得して英語で発信するという、難易度の高い挑戦に取り組む意欲と能力を示すものとして、必要な英語能力を備えた者
・開発途上国の裁判所、国会、司法省等の政府公務員、弁護士等の法律家として、重要な開発課題の解決に取り組む者
<選抜の基本方針>
このような入学者を幅広く受け入れるため、(1)一般選抜および(2)特別選抜入試により選抜を実施する。
(1)一般選抜入試
幅広い人材を受け入れることができるよう、日本在住の志願者と外国からの志願者(留学生)双方の便宜を考慮して、春入学に加えて秋入学も可能とし、選考も各年度 2 回実施する。例年5月頃に実施する第Ⅰ期入試では 9 月入学と翌年度の 4 月入学の出願を受け付け、同じく12 月頃に実施する第Ⅱ期入試では翌年度の 4 月入学 と 9 月入学の出願を受け付けて、各入学時期についての合格発表を行う。具体的な選考にあたっては、志願理由、キャリアプラン、英語能力、人物評価、法律学関係の学業成績、法曹資格の有無、法律実務経験等について書類の提出を求め、公正かつ客観的な視点から各志願者について総合的な評価を行った上で合否を判定する。
(2)特別選抜入試
日本政府および関係機関が実施する国際的な人材育成計画または高度専門人材の養成を目的とする研修制度による留学候補生の受け入れを行う。こうした研修制度の実施時期との関係から、対象者を限定した特別推薦入試の機会を毎年3月から4月にかけて設ける。選抜は、一般選抜入試に必要な前記書類(前述(1))に加え、面接に基づいて行う。
開 設 | 2004年(平成16年)4月 |
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募集人員 | 220名(法学未修者コース約50名、法学既修者コース約170名) |
教 員 数 | 専任教員48名(うち実務家教員数 19名) |
設置場所 | 三田キャンパス(東京都港区三田 2-15-45 ) |
開 設 | 2017年(平成29年)4月 |
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募集人員 | 30名 |
教 員 数 | 専任教員10名(うち実務家教員数 4名) |
設置場所 | 三田キャンパス(東京都港区三田 2-15-45 ) |