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【開催報告】2015年6月 法科大学院説明会

2015.06.17

2015年6月6日(土)に開催した慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)の説明会の内容を一部ご紹介いたします。


【説明会概要】

開催日時:2015年6月6日(土)10時から11時30分


会場:三田キャンパス 南校舎ホール    

大阪シティキャンパス(同時中継)


【説明会次第】   
   
   1.はじめに

   2.研究科委員長のご挨拶

   3.カリキュラムの概要

   4.2016年度入試制度について

   5.実務家紹介......田中 郁乃(慶應義塾大学法科大学院教授)

   6.在学生紹介

   7.質疑応答



実務家紹介・・・田中 郁乃(慶應義塾大学法科大学院教授)

2015年6月6日(土)に開催された慶應義塾大学法科大学院入試説明会のうち、教員として、また弁護士として活躍している田中 郁乃氏の講演を抜粋してご紹介いたします。法曹を目指される皆様のご参考になれば幸いです。

 本日は、実務家教員をしております私の現在の仕事内容、弁護士を目指した理由や、三田法曹界等について、お話します。あくまでも私の経験や私の考えであって、人とは違う部分が多々あると思いますので、そういう前提でお聞き下さい。

 私はもう今から20年以上前の1991年に司法試験に合格しました。当時は、最高裁判所の司法研修所での修習生活は2年間でした。それを経て、弁護士として現在仕事をしております。当時は、合格者数が約600人で、ロースクールはなかったので、今とは制度自体が違っておりました。私自身は、普段の仕事はいわゆる企業法務という分野で、様々な企業間の国際的な取引契約、企業による重要な情報の開示やM&Aなどの仕事を中心にしております。

 私が最初に弁護士になりたいと思ったのは小学校高学年の時です。詳しい理由は記憶していませんが、当時は企業法務などということは知らなくて、単純に友人を助けるために弁護士になろうと思いました。ただ、その前の小学校低学年のときから、将来は科学者になって、環境問題を解決したいという夢も持っていました。小学生のときの弁護士と科学者になるという二つの夢をそのまま高校3年生の大学の進路選択の時期まで持ち続けていて、理工学部と法学部との選択については最後まで悩みました。結局法学部を選択しましたが、当時、ロースクールがあれば、学部は理工学部に進んでいただろうと思います。そのまま理系で研究者を目指していたかもしれませんし、やはり弁護士になりたいと思ってロースクールに行っていたかもしれません。弁護士の中には、大学は理系の学部で勉強した人や、公務員や公認会計士の仕事をした後に弁護士になったという人もいますが、他の弁護士と差別化できる能力があるのは、弁護士にとってはいいことだと思います。色々な依頼者がいて、色々なことを実現したいと思っているのですから、依頼者に対応する弁護士にも色々な興味やバックラウンドをもった人が必要とされているのだと思います。皆さんの中には、これまでは法律とは違う分野の仕事や勉強をされてきたという方もいるかもしれませんが、それは弁護士になったときには他の人との差別化をできるポイントになると思います。

 様々なバックグラウンドや経験は、弁護士になった後の差別化には役立ちますが、弁護士は法律の専門家で、かなりの基礎的な勉強とその後の継続した勉強が必要になると思います。それは、その他の専門分野、例えば、医師も勉強を続けていく必要があるのと同じだと思います。

 法律の専門家としての基礎的な能力を身につけるためには集中して数年勉強する必要があると思います。ですので、法律の専門家を目指される場合には、ロースクールで、集中して一定の期間勉強して基礎的な能力を身につけるのは大変いい勉強方法だと思います。私の場合、実務家になった後は、学生時代よりもよく勉強する必要がありました。あくまで毎日の仕事に対応するための勉強ですが、必要に迫られているので、集中力も増すように思いますし、具体的な事実関係に当てはめて考えるので、理解もし易いように思います。また、目の前に具体的な案件を頂いていなくても、法改正や判例について、常に勉強してアップデートしていく必要があります。弁護士という仕事を選択した以上は、法律改正、判例、まだ知らない法律や、その他のことについて、勉強を続けていく必要があり、この仕事を辞める日まではそれを続けていく必要があるのだと思っています。もちろん、弁護士には色々なタイプの人がいて、細かい法律の改正や事実関係の整理等は若い人に報告してもらって、自分は案件の交渉をリードし、案件をまとめていくような能力を持っていて、そういう仕事をして成功している人もいます。そういう弁護士も基礎的な法律の能力は高いので、若いときにはある程度集中して勉強したのだと思います。皆さんの中には、今まで既に法律の勉強をされてきた方もいれば、これから法律の勉強をしようと考えておられる方もいると思いますが、法律の専門家になるのであれば、ロースクールという勉強に集中せざるを得ない環境に一定期間身を置いて、集中して基礎的な法律の勉強をして、法律家としての土台を作ることはいい勉強方法だと思います。 

 慶應ロースクールの特徴として三田法曹会についてご紹介したいと思います。お手元のパンフレットの24から25ページを開けていただけますでしょうか。慶應義塾を卒業しますと、全員がOBとOGとなり、慶應の場合にはこれを塾員と呼びます。塾員は、必ずどこかの三田会に所属しています。三田会には様々な種類があり、地域の三田会ですと例えば、青森や北海道、札幌等の地域の三田会もあれば、海外の例えばニューヨーク三田会といったものもあります。それから、各企業にある職域三田会もあります。例えば、○○生命といった一つの会社の中で慶應出身の方々が集まっている団体です。そういったもののなかに、三田法曹会があります。慶應ロースクールに入り、司法試験に合格して裁判官、検事、弁護士になると、自動的に三田法曹会の所属になります。パンフレットに書かれているとおり、大変繋がりが深くて、お互いに仕事を紹介するなど、様々な形で助け合っています。 

 また、三田法曹会は、この法科大学院の立ち上げの時から全面的にバックアップをしていまして、多くの実務家教員が三田法曹会出身者で、また、教育支援ゼミ等に対しても若手の先生方が殆どボランティアでお手伝いをしてくれています。先輩が後輩に教え、後輩はまた自分が今度逆の立場になった時に、同じ様に後輩に指導してあげるというような慶應の伝統があります。他校の出身者と話をしますと、法曹界に限らす、慶應出身者の縦のつながりは、他校にはなく慶應独特のものだということをよく言われます。また、実務家教員に関しては、慶應の場合には、従前のロースクールという制度ができるかなり前から法学部の演習科目を担当していました。ロースクール発足後には、その演習科目を担当していた方々が、専任教員等として必修科目等を含めた科目等を教えておりますので、実務家の仕事をしながら学生に教えるということをある程度やってきた人が多いというのも慶應ロースクールの特徴の一つだと思います。 

 最後に、昨今のロースクールをとりまく状況の変化に関連する報道をご覧になって、これから自分の人生を考えるにあたって、卒業後の就職や将来について非常に心配されている方もおられると思いますので、この点について少しお話ししたいと思います。 

 法曹を目指すのではなく会社員になったとしても、一生安泰かというとそうではないと思います。私が学生だったのは20年以上も前ですが、当時景気がよかった会社がその後ずっと調子がいいかというと必ずしもそうではないと思います。会社員になったとしても、途中で転職する必要が生じることはありますし、その場合には、それまでその会社での経験や身につけた能力で、転職先を探すことになります。弁護士は自営業ですから、仕事がたくさんある人もそうではない人もいます。依頼者は弁護士を選ぶことができますので、いい仕事をすれば次の仕事も来ますが、そうでなければ仕事は頂けません。どんな仕事を頂けるのかは、全ては自分次第という意味で、厳しいですが、そういう仕事が向いている人もいると思います。インハウスローヤーは会社員ですので、自営業ではなく、外部の依頼者から仕事を頂く難しさはありませんが、会社内で仕事をしていくという別の難しさがありますし、能力が必要だと思います。組織内で働くことと弁護士という自営業のどちらを選択しても、いいこと、悪いこと、楽しいこと、大変なこと、色々あり、この先どこに困難が待ち構えているかはわかりません。自分のやりたいことと自分の能力と状況に応じて、自分で選択して進んで行って、思い通りになることも、ならないこともあると思います。色々な制約、条件のある中で、最終的に自分の進む道を決めることができるのはあくまで個々の皆さんです。  

 将来、皆様が、是非、慶應ロースクールで勉強し三田法曹会の一員に加わって下さることを期待してやみません。 以上でございます。 





在学生紹介

2015年6月6日(土)に開催された慶應義塾大学法科大学院入試説明会の中から、法曹を目指して当法科大学院(以下では、慶應ロースクール)に在籍している学生の声をご紹介いたします。慶應ロースクールを目指している方のご参考になれば幸いです。

:未修コース3年生、男性。

:既修コース2年生、女性。

:未修コース3年生、男性。



Q1:数あるロースクールの中で、慶應ロースクールを選んだ決め手は?いつからロースクール入試を意識し、準備を始めましたか?

私が慶應ロースクールを選んだ決め手は2つあります。1つ目は、優れた実績を残している先生方が在籍していることです。2つ目は、高い合格率です。具体的には、私は憲法と行政法が好きで、憲法は駒村先生から、行政法は橋本先生から教わりたくて慶應を選びました。ただ、クラスの編成上、両先生から講義を受けることができませんでしたが、憲法は山本先生、行政法は非常勤の下井先生に教わりとても満足しています。高い合格率という点が決め手になったのは、私は社会人を経て慶應ロースクールに入学したので、入学当時は31歳でした。こういう高い年齢で一回でも落ちてしまうと、ただでさえ厳しい就職環境がさらに厳しくなるということで、高い合格率の学校を選ばなければいけないと思い慶應を選びました。

私は重視した点が3つありました。1つ目は、選択科目の充実度です。慶應は学生数が多いためか選択科目も多く開講されているロースクールで、私は学部時代から国際私法を勉強していたので、その勉強を続けたいと考えていました。また、将来一般民事事件を主に担当したいので、消費者契約法関係の授業が充実している学校が良いなと思い探していたのですが、慶應ロースクールはその点両方が揃っていましたので、とても魅力に感じました。2つ目は、司法試験の合格率です。これに関しては先ほどもお話がありましたので、省略させていただきます。3つ目は、これは通ってみてやはり重要だなと実感したのですが、自宅からの通学時間です。私は横浜の方に住んでいるので、他のロースクールに比べてここは通学時間が30分ほど短くて済みます。朝に必修の授業があり夜に選択科目が入っている日は、ほぼ一日学校にいることになるので、毎日のことを考えると、通学時間というのはとても重要だなと思いました。

私がこのロースクールに決めた理由は、東京のロースクールを考えていたこと、司法試験の合格率が高く大学のブランドもあること、そして、入学試験で通してもらったことです。私はずっと関西にいて、色々な職種の方から、東京は仕事の量や情報の速さが違うと聞いていたので、将来働くにおいて東京で仕事をしてみたいなと思い、東京のロースクールを考えていました。その中でも合格率が高くブランドもあるということで、東大と慶應と早稲田を受験しました。



Q2:いつからロースクール入試を意識し、受験の準備を始めましたか?

試験を受けた年の1月から勉強をはじめました。私はあまり適性試験が得意ではなかったので、適性試験の勉強を主に行っておりました。論文は過去問を見て大体傾向が読めるので、大丈夫だと思います。

私はまず法学部を選択した時に、将来弁護士になろうかなと漠然と考えていました。しかし、1年目は大学生になったら遊ぶしかないと思い、アルバイトとサークル2つを掛け持ちしていて、受験を意識した勉強はしていませんでした。2年目に周りが予備校に通っていたので、それに流されながら自分も予備校に通い始めました。3年次に私が選んだゼミでは、普段はディベートをやりつつ、課題としてレポートが出たり共同論文を書いたりと、勉強がとても充実していたので、ゼミが忙しい時期はその活動に集中し、予備校については講座をためない程度に勉強していました。ロースクール受験に専念した勉強を始めたのは3年生の冬以降で、友人と3人で自主ゼミを組んで問題演習をする等して勉強していました。

私がロースクール受験を考え始めたのは3年生の年末で、勉強し始めたのは3年生の終わりか、4年生の頃だったと思います。法学部でしたので、1年生の頃から司法試験を目指して勉強している友達も周りにいたのですが、私自身はまったく考えていませんでした。就職活動が始まる頃になって説明会等に参加してみたものの、ピンとこなくて色々考える中で、法律の道やロースクール進学を考え始めたという感じです。



Q3:慶應ロースクールで授業を受けた感想はどうですか?

一言で言うと、クオリティーが高いです。3名の先生を具体例として挙げると、先ず第一に、西先生の家族法は本当に素晴らしいです。私も結構早口なのですが、先生は早口でも聞き取りやすく、内容もすごく分かりやすくて、西先生の家族法の講義を受けなくて司法試験を受けるなんて有り得ないという声がよくきかれます。次に、刑法の小池先生です。小池先生は、授業の前に事前に設例を学生に配り、学生はそれを解いて授業に臨みます。そして、設例について先生が一人ずつ任意にソクラテスメソッドであてていき、そのあと授業を解説するという授業スタイルです。解説もすごく明瞭で、尊敬できる非常に素晴らしい先生です。最後に、民事訴訟法の三木先生です。本当に頭がいい方なので、講義は論理的で説明が明瞭です。ただし、授業はソクラテスメソッドなのですが、私はあがりやすいのであたふたしていると、「A君は過呼吸に陥っているから次D君」という感じで授業が進んでいきます。授業を受けた後は、心地よい疲労感と、週はじめの授業でも一週間が終わった感じがしてまた頑張る気になれる授業です。

私はまだ入学して約2ヶ月しか経っていないので、様々な先生を比較するほどの情報は持ち合わせていないのですが、学部時代との一番大きな違いは、大教室でただ座って先生の話を一方的に聞くという授業ではなく、ロースクールの授業はソクラテスメソッドで、事前に配られた設問を予習した上で授業に臨むので、90分があっと言う間に過ぎるような印象を受けます。最初の方はソクラテスメソッドに慣れておらず、自分が当たる順番を予想して予習をやっておいたところ、予習をしていない箇所で当たるというとてもヒヤッとする瞬間が何度かありました。しかし、幸い今はだいぶ慣れてきて、全体的に予習ができています。4月は授業についていくのが本当に精一杯で、復習がなかなか追いつかず、5月末の必修の中間試験で痛い目を見たので、この反省を活かして、期末は復習もしっかりやろうと思っています。授業自体は全てレベルが高く、私は学部4年間を法学部で勉強していたので、法律はある程度理解しているつもりでしたが、授業で基本的な項目を聞かれたときに、説明できると思って手を挙げたら途中で詰まってしまい、意外と理解できていないなと気づかされる点が非常に多いです。授業のレベルは高いですが、その内容は初めて目にする知識が多くて難しいということはなく、基本がきちんとわかっているかという確認ですので、基礎力が身につくのではないかと期待しています。

授業は全体的にレベルが高く、特に未修1年目の授業は、純粋未修で入られた方にとってはタフなカリキュラムだと思います。内容的にも、未修1年目のカリキュラムを完璧に理解して吸収できれば、司法試験に合格できるのではないかと思うほどの濃密な内容だと思います。それは、慶應が特に厳しいというわけではなくて、日本のロースクール制度自体が、法学部生が3,4年で勉強する内容について、未修者は最初の1年間で追いつき、2年生から既修者と合流するという設計なので、他のロースクールも多かれ少なかれ同じようなところがあるのではないかと思います。でも、それは悲観する必要はなくて、未修で入られた方はまず1年生で勉強し、その内容についてその後の2年で精度を上げていく、というイメージで勉強するのがいいのではないでしょうか。精一杯勉強することは重要だとは思いますが、あまり強迫観念を持たず、継続して勉強していくことが大事だと思います。



Q4:一日のおおまかな生活スタイルはどのようなものですか?予習復習などの自習の時間についてもお話ください。

大体、朝は5時半か6時位に起きます。本年度だと1限の授業が3コマ入っているので、9時までには学校に来て、授業が終わったあとはその授業で分からなかったところや理解不十分だと思ったところを中心に復習します。その後は、1科目大体最低3時間予習します。私はあまり自習室で勉強するのが好きではないので、喫茶店等で大体夜の22時か23時位までは勉強しています。

必修の授業が1限か2限にあることが多くて、基本的に私は朝が弱いのでぎりぎりまで寝て、大体授業開始5分前に滑り込むというような形です。午前中に授業が終わる日は、午後はアルバイトの時間まで少し次の日の予習をして、丸一日授業が詰まっている日は、休み時間は基本的に次の科目の確認や翌日の予習をしたりする等、平日は予習を中心に過ごしていることが多いです。 予習の時間は、各科目最長でも2時間と自分で決めているので、終わらなかった場合は余裕があればやりますが、間に合わなければ授業を受けた後に復習を含めて土日に回しています。土日の復習としては、民法や民事訴訟法は設例を扱うので、その設例の回答を友人と添削しています。復習の時間としては、土日に民法系の科目を中心に回答を作るということ意外は、今はまだ手が回っていないので、他の選択科目も随時やらなければいけないなと考えています。

一日のスケジュールとしては、朝の電車のラッシュがとても嫌なので、それを避けるため7時半頃に学校に着くようにしています。帰りは、17時か18時ぐらいには学校を出たいと思っているのですが、遅い時間帯の授業が入ることもあり、今学期は20時頃に学校を出ることもあります。学校にいる間は、授業を受けたり自習室で勉強したり、自主ゼミを組んで勉強したりしています。予習復習については、勉強のペースが遅くて恥かしながら未だに予習が終わりきらないまま授業に突入してしまうこともあるため、他のお二人のお話を参考にしていただき、私は省略いたします。



Q5:慶應ロースクールを受験する皆さんへのアドバイスをお願いします。

受験前と合格後入学する前に分けてお話したいと思います。私は未修出身ですので、未修コースを受験する方を主に対象としてお話させていただきます。 まず入試前は、一度早めに適性試験の過去問を解いてみてください。平均点以上を取れたらそこまで集中しなくてもいいのですが、平均点未満やひどい点をとってしまった場合には、毎日こつこつと解いていった方がいいと思います。実際に、昨年既修者コースで入学した同級生の中で、法律はすごくできたけれども適性試験で痛い目にあって、ローを浪人したという人もいます。適性試験は本当にあわない人はあわないので、早めに対策をした方がいいと思います。 論文の方は先ほどお話したとおりです。合格後入学前までにやっておくべきことは、民法の勉強です。理由は2つあります。1つ目は未修者と既修者の一番の実力の差がある科目というのは、民法なのですね。それは、慶應の先生方の教え方が悪い訳ではなくて、科目の特性上、知識量がどうしても膨大で、習得するまでに時間がかかることにあります。既修の方は法学部で勉強されているので、そこでやはり差が出るのかなと思います。 2つ目は、パンフレットの4ページにカリキュラムが載っていますが、1年の春に未修の方は民法を全て履修します。それはすごく大変なことで、入学してから民法にふれるとあたふたするどころではないと思うので、入学前までに是非勉強しておくことをおすすめします。あとは余裕があれば、法科大学院での学習法というのが、2014年度4月号の『法学教室』に出ています。同じ学年で未修出身のすごく優秀な方が、中央ローの他の学生とともに、座談会でどのように勉強しているのかという情報を出しているので、もし興味があればそれをご覧ください。

私は既修で入りましたので、既修で受験を検討されている方向けのアドバイスになります。今年から、慶應は法学既修者試験の受験が必須になりましたが、これに関しては早めに問題集を買って問題形式に慣れておいた方がいいと思います。今年も形式が変わらなければ、20問○×の問題と、後半に4~5問の予備試験のような5択の選択式の問題があるのですが、前半の20問は1問1点の配点であるに対して、後半は1問4~5点という配分になっています。○×は全部合っていたのに、何故か最後の4つか5つ選択肢がある問題を全部間違えて点数が伸びなかったという話を聞きますので、早めの対策をおすすめします。既修者試験の問題は予備試験より難易度は低いので、予備試験の短答ができなかったからという心配は全くなく、問題集で間違えた問題に印をつけて、それを何回もまわすようにすると良いかと思います。 次に、慶應独自の論述式試験について、こちらは特に下三法に関しては条文をしっかり見ておいたほうが良いと思います。何故かというと、必ずしも論点が出るような問題が出されるとは限らなくて、去年ですと私立ローで一行問題が出たところがありました。その時に、論点に飛びつこうと思って探していると書けないので、条文を探して文言を頼りに自分が覚えていることを書くという練習をしておいた方が良いと思います。また、慶應は特に私立の中で時間配分がかなり厳しく、問題量のわりに時間が短いです。そのため、配分を事前に自分で時間を計ってしっかり練習をしておかないと、途中答案になってしまう可能性があるので、そうならないように気をつけて頑張ってください。

私は全科目共通で条文は大事だと思います。全般的な話では、先にありました先生方のお話とも関係しますが、今から法律の世界に進むのは厳しく、ロースクールは大変だ、みたいな話がよくありますが、どういう職業に進んだとしてもどういう生き方をしたとしても、その先どうなるか分からないという意味では同じように大変だと個人的には思います。その中で、もしロースクール進学という選択をされるのであれば、優秀な先生方がいる慶應は、一つの有力な選択肢になり得るのではないかと思っています。私は、慶應にきて恩師と出会うことができたので、慶應ロースクールにきてよかったなと思っています。色々決めるべきことや、やらなくてはいけないことが沢山あり大変だと思いますが、最後は、自分が何をしたいのか、何のために勉強するのかというところが大事だと思いますので、その気持ちを大切にして頑張ってください。

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