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入試情報

【開催報告】2013年6月 法科大学院説明会

2013.06.27

2013年6月15日(土)に開催した慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)の説明会の内容を一部ご紹介いたします。


【説明会概要】

開催日時:2013年6月15日(土)10時から11時30分


会場:三田キャンパス 南校舎ホール    
       
大阪シティキャンパス(同時中継)


【説明会次第】   
   
   1.はじめに

   2.研究科委員長のご挨拶

   3.カリキュラムの概要

   4.2014年度入試制度について

   5.実務家紹介......菅原 貴与志(慶應義塾大学法科大学院教授)

   6.在学生紹介

   7.質疑応答



実務家紹介・・・菅原 貴与志(慶應義塾大学法科大学院教授)

2013年6月15日(土)に開催された慶應義塾大学法科大学院入試説明会のうち、教員として、また弁護士として活躍している菅原 貴与志の講演を抜粋してご紹介いたします。法曹を目指される皆様のご参考になれば幸いです。

  これから法律実務家についてお話をさせていただきますが、お手元のパンフレット26-27頁もご参照ください。 私の場合、もともと法律家志望だったわけではなく、会社員として社会人のスタートをきりました。営業企画やマーケティングを担当した後、在職中に司法試験に合格し、社会人になって約10年後に法律家の仕事に転向したのです。

  まだ当時は「旧司法試験」と呼ばれていた時代。例年約3万人が挑戦し、そのうち29,500人くらいは落ちてしまうという試験制度でした。また、受験予備校というものも発展途上で、十分に確立されてはおりませんでした。そんな中、ほとんど独学に近いかたちで勉強しながら、この世界に来ることができたのは、偏に司法研究室のおかげだと思っています。 当時の慶應義塾には「司法研究室」という機関がありました。週末そこに通いながら、若手実務家や合格者のゼミで勉強したり、答案練習会に参加したりしたのです。普通のビジネスマンとして働きながら、割に早く司法試験に合格できたのは、この司法研究室での勉強があったからです。

  この司法研究室出身の法律家たちが、現在「三田法曹会」を支える一大勢力となっています。そのことも影響してか、司法研究室の良き伝統が、そのまま現在の慶應義塾法科大学院に継承されているといっても過言ではありません。三田法曹会については、パンフレット28-29頁の見開きに座談会形式でご紹介をさせていただきましたので、どうぞご覧ください。 皆さんも慶應義塾に参じていただければ、三田法曹会のメンバーになっていただけますし、当然のことながら司法試験合格のサポートも行います。合格後には就職・就業のお手伝いもさせていただきますし、実務法曹としてご活躍されるようになった後は、このパーソナルネットワークの中でお互い研鑽を積み、お互い頼り合える機会が得られます、そういう意味でも、慶應義塾で学んでいただくメリットが十分にあるのではないかと思います。



  実務家の視点で法律をどうみているか、ということを少しお話ししたいと思います。

 実務法曹は立法者ではありませんので、現に存在する法律の条文を解釈・適用することに集中しています。法解釈に際して「私はこう思う/こうあるべきだ」と述べるだけでは、たんなる個人の意見を表明したにすぎず、実務家の世界では通るようで通らない話です。眼前の事実を前提として、条文の文理がもつ客観性・論理性と、法の解釈と適用による結果の妥当性が要求されるのです。

  これによって相手を(法廷の場では裁判官)を説得するのが、我々の仕事であります。法科大学院における実務家教員としての最大の任務は、実務教育の側から理論的教育に対して架橋し、もって高度な専門的知識と十分な職業倫理を身につけた法曹を養成することです。多くの実務家が慶應義塾の法科大学院に馳せ参じておりますけれども、こうした実務感覚を反映させながら講義を進行しています。

  法律学でまず重要なのは結論ではありません。むしろその結論に至る論理の筋が重要なのです。もちろん結論が日常生活の常識を壊すものであっては困ります。法律家としては、その常識に法律的な根拠を提供しなければなりません。したがって、法律家には、①正義・公平の価値観を有すること、②法の趣旨を正確に理解できる能力のあること、③条文の操作や法の解釈・適用といった技術を身につけていること、④事案の解決にあたって結果の妥当性を見通せる力があること、などの資質が求められるのです。

  これらの資質を体得するためには、理解力・推理力・判断力・分析力・論理力・表現力などの能力特性の存在が不可欠です。法科大学院に入学した後は、不断の勉強によって、これらの能力(とくに理解力・推理力・判断力・論理力)を伸長させていかなければなりません。条文の素読と基本書の精読こそが、法律を学ぶ王道です。このことは、憲法でも民法でも刑法でも訴訟法でも、そして私が現在担当している商法や経済法でも同様でありまして、そうした視点から慶應義塾大学法科大学院の教育が実施されていることも一言ご紹介したいと思うわけでございます。

  法曹養成制度の見直しを検討すべきではないかとの状況もございます。しかしながら、この法科大学院がわが国の法曹養成のメイン・ルートであることは、当面いささかも揺るぐものではないと考えております。したがいまして、法科大学院で教育に携わっている我々としても、自負と責任をもって、ぜひ皆様方と一緒に勉強していきたいと思っている次第です。 先ほど片山委員長から「半学半教」のお話がありました。これは「教うる者学ぶ者との師弟の分を定めず」という慶應義塾のよき伝統です。教員が一方的に教え、学生が一方的に学ぶというのではなく、我々はともに学び、ともに教え合い、そしてお互いを高めていこうという姿勢です。法科大学院に学ぶ方々にも、ぜひ「半学半教」の精神に基づく教授陣とのコラボレーションを満喫し、よりよき法曹に育っていただきたいと望んでおります。

  冒頭にも申し上げたとおり、私自身は最初からこの仕事に就きたいと思っていたわけではありませんでしたが、いまでは弁護士になって本当によかったと感じています。法律家は、やりがいのある、いい仕事です。自分が努力すれば、努力した分だけ、周りの人々から感謝され喜んでもらえるからです。ぜひ皆さんがその職に就けるよう、来年からお手伝いをさせていただければと願っております。





在学生紹介

2013年6月15日(土)に開催された慶應義塾大学法科大学院入試説明会の中から、法曹を目指して当法科大学院(以下では、慶應ロースクール)に在籍している学生の声をご紹介いたします。慶應ロースクールを目指している方のご参考になれば幸いです。

A:未修者コース2年、男性。
B:未修者コース2年、男性。
C:既修者コース3年、女性。
 
Q1:数あるロースクールの中で、慶應ロースクールを選んだ決め手は?
A一つはワークショッププログラムの存在。社会人経験者としては即戦力を身につけたかったので、学問と実務が直接結びついているという点が魅力的だった。また、慶應には優秀な教授陣が揃っている。学説を引っ張る教授や、著書が全国のロースクールでも使われている教授、立法そのものに携わっていた教授、裁判官で要職に就かれた方、第一線で活躍されている実務家の方々の法的な第一次情報を直に身につけられる点でコストパフォーマンスが高いと感じた。
B:私が地方大学出身で首都圏の情報があまり分からなかったということもあり、まずは合格率の高さを目安としいくつかの候補を選んだ。そして、その中でも慶應ロースクールを選んだのは、私の指導教授が慶應の質の高い教育と学習環境の良さから、慶應への進学を強く薦めてくださったことによる
C合格率、優秀な教授陣という理由もあったが、一番の決め手は、慶應ロースクールに進学した先輩たちが周りの友人たちとすごく楽しそうにとても良い雰囲気の中で勉強をしていた点。慶應ロースクールは蹴落とし合いとかがなく、休み時間は授業内容について議論したり、分からない内容を友人同士で教え合ったりとわいわい楽しく勉強している。たまに牧歌的な雰囲気の中、勉強出来るのも慶應の良い所だと思う。

Q2:いつからLS入試を意識し、受験の準備を始めましたか
ロースクールの受験勉強は約1年前から準備を始めたが、社会人だったので、夜学べる学校にしようと考えていたこともあり、慶應を受験しようと決めたのは直前だった。具体的な勉強内容としては、各トップロースクールの入試問題を分析した際に、国家成立前の人間はどんな権利を持っていて、それを現代に置き換えるとどうかといった本質的な点を問われている問題が多いと思ったので、そういった本を読んだり自分の日々の生活の中でそれについて意識して備えていた。
法学部で学んでいたが、法曹を目指すことを決めたのが大学3年生に入ってから他と比べ遅かったこともあり、基礎から勉強しようと思って未修コースを選択した。受験勉強は、大学3年生の5月頃から始めた。英語が苦手だったので特に英語に注力した。適性試験については、大学3年生の9月頃から勉強を始め、ひたすら過去の問題を解いた。論文は、自分の文章が正しいのか、読みやすいのか自分では判断するのは難しいので、大学の教授や友人などの他人に読んでもらうことをお勧めする。
C:大学2年生の頃から予備校に通っていたのだが、サークルや英語の授業が忙しく、3年生を終了した春休み頃から意識して受験勉強を開始した。4月末から友人らと2つ自主ゼミを組み、上三法と下三法の答案練習会を開き、週2日で合計4~7通位毎週答案を書くということを繰り返した。友人と自主ゼミを組んで自分の答案について友人に批判してもらえたことが合格に繋がったと思う。


Q3:慶應ロースクールで授業を受けた感想は?
A:
大学が音楽学部だったこともあり、最初の半年位は外国語を聞いているようで四苦八苦していた記憶がある。予習しなければいけない量が多いので、授業の予習に追われるまま前期が終わってとにかく驚いた覚えがある。
B:法学部出身だが、学部の授業とは全然違った。ロースクールでは事案解決を念頭においてどの授業も行われている。そのため、条文の本質や事例に適切に対応を求められるので、日々刺激を受けている。どの授業も学部と比べて、全く別もの。予習量は多いがそれをこなしていけば、得られる物も大きいと感じている。
C:必修授業については、本当に優秀な教授陣がみっちりソクラテスメソッドで授業をしてくれるのでとても密度が濃いと思う。選択科目については、「鉄道と刑法」や授業中に田植えまで行う「農業と法」といった内容の授業があり、時々力を抜いて笑いながら受けられる授業もあって、バランス感覚の良い授業カリキュラム構成になっているのではないかと思う。


Q4:最後に慶應ロースクールを受験する皆さんへのアドバイス
A:特に社会人の方にとってロースクール入試は、社会環境が厳しかったり、経済的負担や時間的制約、キャリアの切断をしてしまうリスク等色々考えて悩まれると思う。その中でも、極端な話、今日学んだ条文が明日の自分の仕事にどう繋がっているのかという意識さえ持っていればキャリアの切断は起こらないと、1年半しか学んでいないが心から思う。慶應にはそのカリキュラムが用意されているし教授陣もサポートしてくれる。是非一歩進んで、受験して入学されることを願っています。
B:慶應の一番の魅力はなにより、そのあたたかい雰囲気・空間にあると思う。私の出身大学から慶應にきたのは、過去に1人しかおらず、私自身入学当初は知り合いが全くいなかった。しかし、何か疑問があれば、先生だけでなく、出身大学の異なる先輩も親身に教えてくれたり、論文を添削してくれたりする。慶應出身者以外の方も心配せずに、是非入学してくださったらと思う。
C:既修コースの受験生へのアドバイスとして、一つ一つの知識をちゃんと固めて、重要論点については穴なくまんべんなく勉強してほしい。重要論点はみんな書けてしまうので、穴があったら自分だけ書けなくて点数が入らず落ちてしまう。自分の血となり肉となっていない様な知識というのは、試験現場で書くかを迷って、時間の無駄になってしまう。曖昧な知識は他の知識と混ざってしまい変なことを書いてしまうので、それならまだ現場思考の方が良いと思っている。字面を眺めて復唱といった暗記ではなく、裁判所の条文解釈の背景、なぜそういった解釈が生まれるのか、結論に至る理由付けやそれに対してどのような批判があったか、どういう風にそれを乗り越えて結論に至ったかということを手広く納得しながら勉強してほしいと思う。結局納得できないようなこともあるが、そこまで悩めば、悩んだ時間があるので大体覚えられるので、是非みなさんもがんばってほしい。

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