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入試情報

2013(平成25年)年度入学試験受験予定者向け法科大学院説明会を実施しました。(「実務家紹介」、「在学生紹介」を掲出)

2012.06.25

2012年6月16日(土)に開催した慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)の説明会の内容を一部ご紹介いたします。


【説明会概要】
 開催日時:2012年6月16日(土)10時から11時30分 
 会場:三田キャンパス 南校舎ホール    
         大阪リバーサイドキャンパス(同時中継)

【説明会次第】      
   1.はじめに
   2.研究科委員長のご挨拶
   3.カリキュラムの概要
   4.実務家紹介......浅井隆(慶應義塾大学法科大学院教授)
   5.在学生紹介
   6.在学生紹介
   7.質疑応答 



実務家紹介......浅井 隆(慶應義塾大学法科大学院教授)

2012年6月16日(土)に開催された慶應義塾大学法科大学院入試説明会のうち、教員として、また弁護士としてご活躍されている浅井隆先生の講演を抜粋してご紹介いたします。法曹を目指される皆様のご参考になれば幸いです。
 

 私が法曹を目指したのは、学部時代の3年生~4年生にかけて、ちょうど就職が現実味を帯びた時期です。企業に入って組織の一員として仕事をするよりは、独立した仕事をすることで、さまざまな企業や世界を見ることができる弁護士の仕事に魅力を感じました。私は26歳で司法試験(旧司法試験)に合格したのですが、私の司法試験受験時代は大きく2つに分けられます。皆さんにとって反面教師にもなる経験だと思いますので、お伝えしたいと思います。

 最初は独学の時代でした。司法試験予備校には通っていましたが、3年あまり独学の時代がありました。当時の司法試験は2万5千人の受験者の中から4千人程度が択一試験に合格し、論文試験の合格者は500人弱という状況下ですが、私は24歳までは択一試験すら受かりませんでした。私は択一試験すら受からない状況に危機感を覚え、当時、慶應にあった「司法研究室」(以下、司法研といいます)に入りました。2年間在籍した翌年に択一試験を通り、翌々年に論文試験にも合格し、司法研入室後2年で最終合格することができました。

 私のこの司法試験受験時代で何が言えるかというと、皆さんが今後ロースクールに入って新司法試験を目指すにあたり、「絶対に独学してはいけない」ということです。他方、「優秀な勉強仲間」と「教えてくれる先輩」の存在がいると極めて短期間で身に付くことが、私の2年間の司法研での経験からもお分かりいただけるかと思います。慶應ロースクールは、その優秀な勉強仲間・先輩と教授陣がいる最良の環境が整った教育機関です。このことは、まさに慶應ロースクールの司法試験の合格率・合格数ともに高い実績が示す通りです。

 
 私はこれまで22年弁護士をしていますが、冒頭でお話しした通り、企業を通じて色々な世界を見たいと思っていました。英語は得意じゃないけど、企業法務を希望していた私には、当時、商事関係か労働関係のどちらかの選択肢がありました。その中で私は、労働事件や労働相談を企業側に立って扱う法律事務所へ入りました。その後9年目でパートナー(共同経営者)となり、現在に至ります。当初思っていた通り、色々な企業や世界を見ることができました。具体的には、百貨店やスーパー、ホームセンターなどの小売業、損害保険や生命保険、銀行・証券といった金融機関、あるいは大学や専門学校といった教育機関、病院、物流会社や航空会社といった運送事業社、派遣会社等、さまざまな業種を顧客とし、その世界を垣間見ることが出来ました。日本企業は7~8割、外資系は2~3割で、外資系企業の考え方なども知ることができました。

 仕事の類型は、個別の労働事件と相談案件の大きく2つに分かれます。弁護士の仕事で思い浮かぶのは個別の労働事件を取り扱う訴訟だと思いますが、同様に、企業の人事制度の設計なども仕事の大きなウェートを占めます。人事制度の設計は、具体的には年功型賃金制度から成果主義型賃金制度への移行、そのために紛争にならないためにはどうしたら良いかなどの相談を受けます。個別の案件では、例えば円満退職を進めるにあたってどうしたら事前に紛争を予防できるか、あるいは紛争が発生する前にどのように解決できるかといった企業のニーズに答えたりもします。こういった仕事は、企業の人事設計に携わることが出来、とても創造的です。弁護士は、訴訟という事件の後処理を行うイメージが強いかもしれませんが、その他にもこういった、企業と深く関わって企業と創造的な仕事も行うことができるということを、これから皆さんが勉強する動機付けにしていただきたいと思います。

 労働を中心とする企業法務の仕事のポイントとしては、従業員という企業の人的要素を対象とする点です。対象がモノではなく、ヒトです。つまり、「感情をもった人」を対象に人事設計を行い、個別の人事法に対応する。企業側の労働事件ないし労働相談を受ける弁護士は、労働者という感情をもった人間に対してどう対応するか、という視点を常に考えなければならない。これは本や教科書に一切載っていない、まさに実際の紛争になった時に初めてぶつかる問題です。このような問題を法科大学院のワークショップ等でみなさんは先に勉強する機会があります。こういった問題は非常に重要で、当該専門分野における特殊性に対応して経験を積んで、その特殊性の特徴に応じて解決する、解決策を企業に提示することが非常に重要であります。そういった提示をする弁護士が企業からも評価されると言えます。

 執務としては、全国展開する企業の場合には地方で起きた事件に対応する際に、東京にいる顧問弁護士に依頼することが多いことから、毎週のように地方へ出向きます。その他、企業の担当者の方や社会保険労務士の先生に向けたセミナーの講演依頼を受けたり、雑誌や書籍の執筆依頼もきます。弁護士は自由業ですので休む日を自分で決められますが、顧客から仕事を依頼されることが多い実務家は、非常に忙しくなり土日もなくなることもあります。

 私の話が、これから皆さんが慶應ロースクールに入り、そして実務家となり、その後のご活躍の中でどういうビジョンを持つのかにおいて、参考になれば幸いです。





在学生紹介

2012年6月16日(土)に開催された慶應義塾大学法科大学院入試説明会の中から、法曹を目指して当法科大学院(以下では、慶應ロースクール)に在籍している学生の声をご紹介いたします。慶應ロースクールを目指している方のご参考になれば幸いです。

A:未修者コース1年 男性。
B:既修者コース3年 男性。
C:未修者コース3年 女性。

Q1:数あるロースクールの中で、慶應ロースクールを選んだ決め手は?
A大学から慶應義塾に通っていて、その雰囲気が好きだった為。その他にも新司法試験の高い合格率、カリキュラム・設備の充実、優秀な先生方が沢山いらっしゃる点。
B第一に合格実績が特に良かった点。他のロースクールと比べて熱心な指導をしていただけると先輩方から聞いていた。大学の段階で企業法務に興味があり、企業法務ワークショッププログラムを慶應が押していたことも大きかった
C仕事をしていたので、合格してから受かった中で考えようと思っていたのだが、その中でも慶應ロースクールを選んだのは、やはり合格率が良かった点。また、説明会や入試を受けた時の先生方の雰囲気が良かったと感じた。


Q2:いつからLS入試を意識し、受験の準備を始めましたか?
A大学2年終了後の春休みから準備を開始
B大学の授業を中心に勉強を進めてきた部分があるので、受験を意識して勉強を始めたのは、大学3年生終了後の春休みから開始。ただ、3年生の春から主として依拠すべき基本書を決めて、1日何ページずつというノルマを自分に課して勉強はしていた。
C
適性試験を受ける2か月前から準備を開始。


Q3:慶應ロースクールで授業を受けた感想は?
Aロースクールに入る前は暗記することが大事なのかと考えていたが、もちろん暗記も大切だが、論理的に考えるということが重要だと感じている。先月から始まった民法演習では、結論に至るまでの論理的プロセスを徹底的に考えさせられている。90分授業があっという間で充実感を感じている。
B既修コースでは、基本的に事前に検討すべき判例が与えられて、予習を前提に授業が進む。大学時代には当事者側から事件を見るということがあまりなかったのだが、紛争を動態的にみることがロースクールに入ってから鍛えられていて、授業を面白く受けている。
C
未修者が3年間で身につけるためによく練られたカリキュラム。とても親切に指導していただけていて、授業の密度が濃い。


Q4:1日のおおまかな生活スタイルは?(予習復習などの自習の時間等について)

A90分授業が毎日2コマ入っており、毎日だいたい午後1時には授業が終わる。学校から近いこともあり主に自宅で勉強している。授業によって異なるが、予習復習時間は概ね2時間ずつ程度。
B3年生から9時開始の授業が多いので、7時半に学校に来て、夜7~8時には帰宅。一日に2つ位授業が入っており、授業の合間は予習復習を行うか自主ゼミで勉強しており、学校でしか勉強しない。
C朝7時に登校し、夜9時に帰宅する。荷物(本)がとても多いので、学校で集中して勉強している。

Q5:将来はどのような法曹を目指していますか?
A幼いころからサッカーが大好きで、将来的にもサッカーに携わる仕事に就きたいと考えていた。大学時代のゼミでサッカー選手の代理人の話を聞いたことがきっかけで、それ以来、スポーツと法律の結びつきに興味を持ち、法曹家になった暁にはサッカー選手の代理人になりたいと考えている。
B法学研究(公法学)にも興味があり、研究という視野も含めてロースクールに入学した経緯もあるので、今の段階でも弁護士、裁判官、研究のどれかに絞れてはいない。実務家になるのであれば、研究と実務を繋げたいと考えている。
C金融機関で働いていたので、また金融機関の中で法務に携わる可能性が高いかと思っている。前職の同僚と一緒に面白いことが出来ればとも話している。

Q6:最後に慶應ロースクールを受験する皆さんへのアドバイス
A既修で来年入学される方々は、来年同じクラスで勉強する機会があるかと思う。ロースクールの受験をがんばっていただき、来年是非一緒に勉強しましょう。
B受験まで残り三カ月ではあるが、各科目・各分野をまんべんなく勉強することがロースクール受験で一番重要だと感じた。ロースクールに入ってからは判決文を直接読むことの重要性を痛感しているのだが、受験の段階でも大事なことだと思うので、こういった点は注意していただくことをお奨めする。
C入学までの期間に可能な限り法律の勉強をスタートしておくことをお奨めする。未修者コースでは基礎から教えてくれるが、速いスピードで授業が進んでいく。また、せっかく2年生から興味深い選択科目がとれるのに必修科目で精いっぱいになってしまい、それらがとれないとなってはもったいないと感じるので早めに勉強を始めておくことが鍵。

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