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『インハウスで活躍する』 第2回 馬淵智史君、西部敏博君、近藤祐司君(伊藤忠商事株式会社)

2014.04.23


 企業や官庁等の法務部門で働く法科大学院修了生が増えており、組織内法務、いわゆるインハウスは、第4の法曹として注目を集めています。その一方で、組織内の仕事であるだけに、インハウスがどんな仕事か分かりにくいのも事実です。在学生や修了生の皆さんも、将来の進路として興味はあるけど、よく分からない、と思っている方が多いのではないでしょうか。
 そこで、インハウスとして活躍する先輩達に、皆さんにとって関心の高い質問事項をお送りして答えてもらいました。インハウスの実際がよく分かると思います。今後、このwebサイトで、先輩たちの活躍の様子を定期的にご紹介していきたいと思います。


第2回は、一挙に3名の先輩にお願いしました。伊藤忠商事株式会社法務部で活躍されている、馬淵智史さん(2006年度修了)、西部敏博さん(2008年度修了・現在伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社法務部出向中)、近藤祐司さん(2011年度修了)です。

 

 

■ 本塾法科大学院修了後、今の会社へ就職されるまでを簡単に教えて下さい。

 

[馬淵]

 私は、2007年の新司法試験を受験・合格し、2007年11月より1年間、新61期司法修習生として、修習を行いました(修習地は名古屋)。修習修了後、2009年1月に英国系法律事務所に入所し、日本企業の海外進出・撤退のサポートや海外企業の日本進出・撤退のサポート等、主にコーポレート・M&A関連の業務に携わっておりました。法律事務所での勤務も非常に刺激的でしたが、日本企業の海外進出サポート等の業務を行う中で、より現場に近いところで働いてみたいという気持ちが強くなったこと、またリーマンショックの余波もあり日本への投資が細っていたこと、等もあり転職を考えるようになりました。2011年10月に現在の職場である伊藤忠商事法務部に転職し、現在に至っております。

 

[西部]

 私は、新63期として司法修習(東京修習)を修了後、今の会社に就職しました。グローバルかつ多様な商品を扱う総合商社の法務に強い関心があったため、就活では総合商社に絞って応募しました。その中で、今の会社とご縁があって内定を頂けたため、入社した次第です。入社まで他の職務経験はございませんでした。

 

[近藤]

 私は、新66期として司法修習を修了後、今の会社に就職しました。私は法科大学院に進学した当初から企業法務を扱うインハウスローヤーになることを第一志望で考えていました。特に多種多様なビジネスの企業法務を一企業に所属しながら扱える総合商社に興味を持っていました。そのため、司法試験の受験が終わってから主にインハウスローヤーの採用を行っている企業の就職活動を中心に行っていました。しかし、実際に就職活動を始めると、そもそもインハウスローヤーのリクルートがいつどのように行われているのか、どこで情報収集すればよいのか等、分からないことだらけでした。
 そこで、当初から興味のあった業界である総合商社に就職している学部時代の友人を頼りに法務部に所属するインハウスローヤーの方を紹介してもらいました。その方から業務内容、働き方等の話を聞かせて頂き、さらに別のインハウスローヤーの方を紹介して頂くといった形で様々な業界で活躍されるインハウスローヤーの方々から多くの情報を収集することができました。その中で、法科大学院の先輩でもある弊社の西部さんから話を伺う機会も得ました。そして、弊社のインハウスローヤーの採用選考を経て現在に至ります。

 

■ 現在の業務の概要を教えて下さい。  inhouse2-k.jpg

 

[近藤]

 私は2014年1月に入社したばかりであり、自分自身いまだに業務について把握できていないため、詳細は先輩のお2人にお任せし、私は担当している業務概要を中心に簡単に触れさせて頂きます。
 弊社では営業部の事業部門ごとに担当室・担当法務部員が配置されており、純粋な法務業務を行う室としては5室から構成されております(その他に法務部にはコンプライアンス室等もあります。)。私は、現在食料・繊維ビジネスを担当する室に所属し、①秘密保持契約、売買契約、業務委託契約、ライセンス契約等様々な種類の契約書(英文も含む。)のレビュー、②営業の方との打ち合わせ、③弊社が扱うビジネスに関連する独占禁止法、金融商品取引法、会社法等の改正を含めた法令動向のリサーチや具体的な事案をテーマにした勉強会をしております。法律知識のみで契約書をレビューするのではなく、営業の方と打ち合わせをして、対象ビジネスの全体像を把握した上で、適切にリーガルリスクを把握し、アドバイスができるかという点に、苦労するとともにやりがいを感じております。

 

[馬淵]

 総合商社という業態もあり、弊社の扱っている商品は石油・ガス・航空機といった数十億円・数百億円単位ものから、バナナ・シャツ等数十円・数百円単位のビジネスまで多種多様です。また、それに伴って、取引の種類も単純な商品の輸出入取引から、資源関連投資やM&A、プロジェクトの組成など、多種多様であるため、求められる法務業務も多彩です。私は、入社して1年半ほどは建設・不動産・金融関連の営業部署の担当、その後現在に至るまでは繊維・食料関連の営業部署を担当してきました。
 日々の業務としては、簡単な秘密保持契約や売買契約のレビューから、営業部からの日々の相談対応、さらに投資案件等を行うに際してのリスク審査や契約ドラフト、また相手方との契約交渉等を行っています。海外大型案件や訴訟案件などについては外部弁護士に依頼することが通常ですが、外部弁護士の選定やコミュニケーション、マネジメントなども行っております。

 

[西部]

 私はこれまで、食料、繊維及び化学品ビジネスにおけるトレード、投資案件等の法務を担当してきました。対象となる国はアジア、北米、南米、EU各国等様々です。もちろん国内案件も多くあり、これまで担当した海外案件と国内案件の割合は約半々という印象です。トレード、すなわち売買等の取引については、売買契約書等における法的リスクのチェックの他、支払遅延債権の回収業務もあり、場合によっては債権回収訴訟や倒産案件に発展することもあります。この場合、法務部が営業部や他の職能部署を先導して対応を決定していきます。また、投資案件においても、法的スキームの選択から始まり、法務デューディリジェンスのフォロー及び結果のレビュー、最終契約のチェック、契約交渉など、多岐にわたる業務を行います。
 以上に加え、営業部向け講習会の講師を務め、日常取引に潜む法的リスクを周知するというのも法務部の重要な業務の一つです。
 なお、私は、今年の4月から伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社という鉄鋼製品商社の法務部に出向し、新たな分野での法務業務に携わっております。

 

■ 弁護士登録はされていますか? 

 

[馬淵]

 弊社法務部では弁護士登録をしている者は多く、私自身も弁護士登録は行っておりますが、弊社では訴訟代理人は外部弁護士に委託しますし、業務を行うに際して弁護士資格の有無はほとんど関係ないと感じています。

 

[西部]

 私も弁護士登録はしておりますが、普段は特に弁護士資格を活かした業務は行っておりません。但し、紛争案件の初期対応、例えば事案の経緯や争点の把握、法律事務所の選定等は行いますし、訴訟係属中もこちらでできる限りのフォローは行います。

 

[近藤]

 私も弁護士登録をしておりますが、弁護士資格の有無によって、業務内容が異なることはないという点はお二方と同じように感じています。

 

どんなところに仕事の面白さを感じますか?

 

[馬淵]

 法律事務所で勤務していた頃と比較して、という観点になりますが、社内の法務部は外部の法律事務所に比べて営業部からも気軽に相談にきてもらえるため、様々な案件について早い段階から関与することができる、ということが挙げられます。相談内容をよく聞き、整理してみると、実は全く法的なイシューのない相談だった、ということも多くあります。法律事務所で勤務していたころは、既に整理された法的論点に対して、漏れのないようにリサーチを行った上でどのような見解を提供するか、という点に仕事の重点が置かれていたのに対して、社内の法務部という立場では、生の事実を聞いて素早く整理・分析し、交通整理を行う、という役割が求められており、自分自身そうした交通整理をすることに面白さを感じています。
 また、会社の利益極大化に向けて法務的側面からサポートする、というのが法務部のあるべき姿勢だと思っているので、最近は、会社の利益を最大化するためにどのように知恵を絞るか、という点を意識するようにしており、その点に面白さを感じています。適法違法というコンプラ問題が絡めば採算度外視して全力で止めるべきですが、そうでなければ、法や契約文言を駆使して会社の利益極大化のためにベストを尽くすわけで、営業部と同じ目線で知恵を絞ります。このような視点は法律事務所で勤務していた頃は全く意識していませんでしたが、このような意識を持っているかどうかは営業部からの信頼を得られるかどうかに大きく影響すると個人的には感じています。

 

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[西部]

 法務部というと、社内の法律問題のみ扱う部署というように思われるかもしれませんが、個々の案件のリスクは、必ずしも法的リスクにとどまりません。法務部としては、あらゆるリスクを抽出して案件の審査を行う必要があり、カントリーリスクやレピュテーションリスクなども洗いざらい精査した上、この案件が本当に利益に結び付くのかどうかというビジネスの本質部分まで掘り下げて案件を審査します。こういったリスクを完全に把握するためには、営業部との日常のコミュニケーションが欠かせません。会社組織の一員として、営業部としっかり連携をとりながら、(時には営業部をリードして)業務を遂行できたときに感じることのできる一体感と充実感が今の仕事のおもしろさです。

 

 

 

[近藤]

 まだ入社したばかりですが、営業部の担当者と密にコミュニケーションを取り、ビジネス内容を理解し、リーガルリスクを考えることに仕事のおもしろさを感じております。

 

■ 逆に、お仕事で苦労されているのはどんな点ですか?

 

[馬淵]

 リスクの判断が必ずしも容易ではなく、また現場では必ずしも正論が通るものでもない、という点です。外部の法律事務所であれば、純粋な法的論点に対してリスクがあると思えばリスクがある旨を指摘し、あとは依頼者の判断に委ねるという姿勢が一般的と思われますが、社内の法務部の場合、法務部として認めてよいかどうかの判断を求められることがあります。例えば、リスクの高い契約文言を飲まざるを得ない場合に、それが顕在化する可能性はどの程度なのか、仮に1%のリスクがあったとして、それを懸念して儲け話を潰すことが本当に会社の利益になることなのか、そのあたりのさじ加減が難しいことがあります。個人的には、その点が法務部の仕事の醍醐味であるとも思っていますが。

 

[西部]

 語学(英語)です。入社前から得意ではなかったので、覚悟していた点ではありますが、やはり業務では英語が頻発します。英文契約書のチェックは当然ですが、出張先では英語でのコミュニケーションや交渉が求められますし、案件の会議が英語で行われることもしばしばです。お恥ずかしながら、入社当初は英語での会議の内容がほとんど把握できないレベルでした。
 ですが、社内では語学の研修が充実しておりますし、OJTで学べる機会も極めて多いです。そういった研修やOJTを通じて日々語学力の向上に努めています。

 

[近藤]

 英文契約書を含め様々な法律問題を検討する場面が多いと感じております。そのため、これらの問題に対応できるように日々勉強を積み重ねていきたいと思っております。

 

■ 本塾法科大学院で学んだことを、仕事の中でどのように活かしていますか? また、法科大学院教育には何を望みますか?

 

[馬淵]

 学部生の時から司法試験の勉強はしておりましたが、ロースクールの多くの授業で、判例を大量に読み込んだ経験は、今の自分の仕事にも大きく役立っていると感じています。細かい背景事情含め事案を分析し、その中で判例がどのような事実を考慮して結論を導いているのか、という過程をロースクールの授業で学びました。現実に起こる事案というのは、単純に法や判例に当てはめれば答えが出るものではなく、様々な事情を総合考慮しなければならないものですので、ロースクール時代に判例を大量に読み込んだという経験は、単に司法試験合格のために必要だっただけでなく、現実の事案を解決するためのセンスを養うという意味でもいい訓練でした。
 また、インハウスに限った話ではありませんが、仕事においては自分の頭の中で分かっているだけではダメで、それを説得力ある形で人に伝えることが必要になりますが、ロースクールの授業等では、教授や友人と議論を交わす機会が多く、自分の意見を整理して伝えることの訓練になりました。さらに、ロースクール時代には外資系法律事務所でのエクスターンシップをさせて頂く機会もあり、渉外法務に興味を持つきっかけにもなりました。

 

[西部]

 大学院在学中からインハウスとしての法務業務に強い関心があったため、法科大学院では、「企業法務WP」や「Corporate Governance & Risk Management」等の授業を履修しておりました。現役でご活躍されている企業法務弁護士やインハウスの弁護士が講師を務めて下さっていたので、現場のイメージや業務を把握する上で大いに役立ちました。
 そのような企業法務に特化した講義以外でも、民法・商法などの基礎科目で学んだ基礎的な知識は、日常業務で大いに役立っています。総合商社といってもトレードを多くやっておりますので、基礎科目で培った知識は日々の業務を進める上で必須です。また、国際的なトレードの場面で外国の法律が適用されるケースでも、日本法の知識・思考方法がしっかりしていれば、あとはそれを応用して理解することが可能な場合が多いという印象です。
 また、日本企業を取り巻くグローバルなカルテルリスクが高まっている昨今、選択科目の経済法(独禁法)で学んだ知識を使う場面も多いです。
 今はどうかわかりませんが、私の在学中は、インハウスで活躍されている方が講師を務める授業は少なかったと思います。今でもインハウスの道に進む法科大学院生は少数派なのかもしれませんが、インハウスの現場感を学び、体験することのできる授業を充実させていただければ、法科大学院生の進路選択の一助につながるのではないかと思います。

 

[近藤]

 私は、2010年3月に慶應義塾大学経済学部卒業を卒業し、その後慶應義塾大学法科大学院に進学しました。学部が法学部ではなかったため、法科大学院に入学するまでは、いわば我流で法律を学んでいました。そのため、法科大学院で学んだことや得た経験が法曹としてのベースになっています。その中でも、①常に具体的事案を解決することを意識して、法律問題を考える法的思考を身につけることができたこと、②各分野の最前線で活躍されている実務家教員が担当されるワークショップ・プログラムにおいて、最先端の実務に触れることができたことが自分の財産となっています。
 慶應義塾大学では各専門分野の権威である教授の方々から授業を受けることができました。単純に判例を当てはめれば解決できるような事案ではなく、実務で現実に問題となっている答えの出ていないような具体的事例を題材にした授業では、自分の頭で事案を突き詰めて考える訓練を積めました。また、教授や友人と議論することで、自分の考えを相手に的確に伝え、相手の考えを理解するスキルが身に付きました。このような経験は、実務において目の前の案件を様々な角度から検討する上で、非常に役立っております。営業の方に法的な問題を説明する際のコミュニケーション能力にも生きております。
 私は、金融法務のワークショップ・プログラムを履修しておりました。それまで会社法の一分野として単に勉強していた株式や社債等について、企業の資金調達方法というファイナンス目線から長所短所を比較し、本質から理解するきっかけを得たことが印象に残っております。学生時代から実務家の方々が法律問題をどのような視点から検討し、どのように具体的解決を導くかという実践的な思考過程を鍛える機会を得られたことは、今振り返っても貴重な経験でした。私が法科大学院に在籍していた当時はありませんでしたが、現在はインハウスローヤー向けのワークショップ・プログラムも開設されているように慶應義塾のカリキュラムは実戦向きのものが多く、そこで得た知識や考え方の多くは実務に直結していると感じております。

 

■ 5年後や10年後のご自身の将来像をお聞かせ下さい。

 

[馬淵]

 法務以外の知識や経験も積極的に身につけていき、よりビジネスの現実に照らした対応ができるようになりたいと考えています。5年前・10年前とは弁護士業界やインハウスの業界も大きく変わったように、5年後・10年後がどうなっているのかは分かりませんが、自分は弁護士だから法律以外のことは知らなくてよい、という姿勢だと、自分の将来の可能性を狭めてしまうように思います。

 

[西部]

 今は日々目の前の業務を着実にこなすことで精一杯なので、具体的な将来像はあまりイメージできておりません。ですが、漠然ながら会社にとって欠かせない存在になりたいという目標はあります。

 

[近藤]

 様々な分野の法律に精通すると同時によりビジネスを理解したインハウスローヤーを目指しております。法務に携わる人間である以上、法的知識は不可欠でありますから、日々勉強を重ねて知識の幅を広げるとともに、単に法律の知識量を増やすのではなく、的確にリーガルリスクを把握する能力や語学を中心とした法律以外の知識を吸収していきたいと考えております。

 

■ 最後に、インハウスを志す後輩たちへのメッセージをお願いします。inhouse2-m.jpg

 

[馬淵]

 企業に入るのであれば、弁護士としての仕事、というよりその組織の一員になるのだ、という覚悟を持つことが重要だと思います。企業の場合、その業界・企業特有のルール・雰囲気があり、また法務部門に対してどのような機能が求められているのかも企業によって様々だと思います。その企業ではどのようなビジネスを行っていて、法務部門にはどのような役割が求められているのか、という点をある程度理解して、自分のやりたいことと齟齬がないかを確認しておくべきと思います。
 ロースクールや司法制度に関しては、就職難や合格率の低下等、あまり明るくない話を聞く機会も多いですが、やり甲斐のある仕事だと思いますし、楽な道を選んでも結局は自分が将来苦労するだけと思いますので、困難にめげず、是非目標に向けて頑張ってください!

 

[西部]

 インハウスに興味を持たれている法科大学院生の方々、周りの多くが法律事務所に就職しているからといってその興味を押し殺してしまうのはもったいないです。むしろ可能性の一つとしてその興味を押し広げて頂きたいと思います。
 インハウスの業務に関連した講義を履修してみることもいいと思いますし、実際にインハウスとして働いている先輩や講師に話を聞いてみるのも、現場感を把握する一助になると思います。実際、慶應ロースクールの卒業生には、インハウスとして活躍している方が数多くいます。

 

[近藤]

 企業の法務部門に所属する上で大事なことは、その企業のビジネスに対してどれだけ興味を持てるかという点だと思います。法律事務所の弁護士とインハウスローヤーを比較する際、インハウスローヤーはビジネスの現場により近い位置で仕事ができるとよく言われております。自分が企業で働きだして言葉以上にそのことを実感します。スケールの大きな案件では、プロジェクトとして固まっていない段階から法務部も関わることが多く、日々刻々と変化するプロジェクトの状況に応じて、的確なリーガルコメントを求められます。ビジネスのスピード感に遅れずにリーガルリスクを指摘するためには、当事者意識を持ってアンテナを張りながら、営業の方と密にコミュニケーションをとることが不可欠です。その根幹にビジネスへの興味が必要だと思います。
 インハウスローヤーを志している方は、漠然と企業法務をやりたいで終わるのではなく、自分がどの業界に興味があり、その中でもどの企業に魅力を感じるのかを真剣に考えてみて下さい。そうしなければ、自分のイメージと現実に齟齬が生じ、企業にとっても、個人にとっても不幸な結果となってしまいます。私自身、自分の進路を決める際に、弁護士資格の有無を問わず、様々な業界の法務部で働く方々の話を聞かせていただきました。近年、慶應義塾法科大学院出身のインハウスローヤーは増えておりますので、是非慶應義塾の人脈をフルに活用して自分の興味が持てる業界、企業を見つけていただければと思います。
 ご存知の通り最近の弁護士の就職状況は厳しいものではありますが、自分の興味分野を真剣に考えて進路を選択すれば、おのずと就職活動にも熱意が入り、良い結果を得られるはずと信じております。

 

ありがとうございました。皆さんのさらなるご活躍、期待しています。

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